★コースタイム | |
地点分岐等 | 時間 |
林道車止 | 8:10 |
Co1070二股 | 8:55 |
Co1280二股 | 9:35 |
無類岩山 | 10:40 |
所要時間 | 2:30 |
無類岩山 | 11:40 |
Co1280二股 | 12:15 |
Co1070二股 | 12:35 |
林道車止 | 13:15 |
所要時間 | 1:35 |
222.無類岩山(北大雪/1613.3M) | ||
マイナーな藪山登山に藪屋さん達の個性とプライド、連帯を見た! | ||
登山の原型かも 一口に登山といっても、一般的な夏道登山に始まり、沢登りやクライミング、冬山(積雪期登山)等々、山行形態は多様である。今回は、山仲間からお誘いをいただき、登山道のないマイナーな山=藪山ばかりを登っているグループ山行(藪山祭)に同行させていただいたものである。皆さん、「藪を漕ぐ」ことを苦としない、もっと言えば「藪を漕ぎたい」人達ばかりであり、体力や技術、モチベーションは私の及ぶところではない。その山行形態は、前述したそれと重なる部分もあるが、主体は、道のない藪尾根の登下降であり、インターネットなどでは今や、登山の一ジャンルとして立派に成立しているようである。考えてみると、今日の登山スタイルが確立する以前の山登りは、沢と尾根がそのルートだったに違いない。状況に応じて、それらを巧みに組み合わせ高みを目指したのだろう。その意味では、藪山は合理的な登山の原型かもしれないと思う。 鉄芯入りの長靴 無類岩山(むるいいわやま)は北大雪山域にあり、武利岳の北東、武利川支流下ノ沢川を挟んで対峙する位置関係にある。前日現地に入り、武利川の河原でテント泊するが、翌朝、放射冷却で気温は冷え込み、テントがバリバリになっていたのには驚いてしまった。身支度を整えテントを撤収した後、車で登山口へ向かう。武利岳登山口へ向かう林道から離れ十四ノ沢川沿いのホロカ林道に入る。2キロ弱走ると林道は行き止まりとなる。狭い土場に参加者の車十数台が並ぶ。事情を知らない人が見たら、何事かと思うに違いない。8時10分、にわか藪屋も含め30名近い大パーティが登山口Co820を出発する。私は後方からで、暫くは左岸高くつけられた林道を行くが、ハンノキだろうか細い灌木が煩わしい。林道はCo940二股まで続いていて、ここから右股に入渓する。沢の流れはしっかりあり、登山靴ではかなり辛いところだが、水深も浅く長靴で全く問題はない(今回の山行のために、鉄芯入りの長靴を購入した)。 想像との格差に 聞けば、藪屋の基本スタイルは「スパイク長靴」だそうで、あらゆるシーンで対応力が高いという。数珠繋ぎとなった登山者達の壮観な様を眺めつつ、ゆったりとしたペースで上がっていく。まるで、ガイド登山にでも参加しているような気楽な気分である。沢の遡行も容易で問題となるようなところは全くない。9時前にCo1070二股に到着、ここで小休止する。私は今回が初参加だが、ほとんどの皆さんは顔見知りのようで、久しぶりの再会に笑顔がほころんでいる。インターネット上ではかなり有名な人も多く、思い描いていたイメージと現実とのギャップに少々戸惑ってしまう(笑)。Co1070二股は左に入り、直ぐのCo1120二股も左をとる。谷は直線的に開けてきて雪も見られるようになる。流れの側のブッシュや石は凍りつききらきらと輝いている。見上げると雲ひとつない秋の空が広がり、左岸斜面は穏やかな日差しが降り注いでいるが、日陰の右岸斜面は底冷えのする風景である。 根曲竹と積雪が そんな中、半袖シャツ一枚の強者もいる。足元はほぼ長靴スタイルで一致するが、それ以外は個々バラバラで、実に個性的である。流れが雪の下となり、傾斜が増してくるとほどなくCo1280二股で、周囲はほぼ雪に埋まる。ここは右に入り、直ぐのCo1330二股も右である。傾斜は一段と強まり、手強い根曲竹と積雪が行く手を阻む。スパイクの付いていない長靴ではグリップは得られず、油断すると直ぐにスリップする。両手で根曲竹を掴んで身体を持ち上げるシーンが続く。頂上直下に至りようやく笹藪を脱出する。薄い灌木の奥が徐々に開けてきて平坦な雪面が視界に入ってくる。先行する人達が歓声を上げながら雪面を越えていく。先行者たちによって踏み固められたトレースを辿り私も雪面に上がる。無類岩山は厳密に言うと双耳峰で、私が上がった雪面は南峰と本峰との鞍部で、そこから1分で山名を冠した北峰に着く。広がる大展望に口々に「スゴイ!」という声が上がる。 柴崎の艱難辛苦 沢を挟む武利岳北東面の険しさに驚き、冠雪した表大雪の美しさに酔う。勿論、西のニセイチャロマップ岳やその北に位置する支湧別岳も中々の存在感を発揮している。一方、辿りし沢筋の遥か遠方には阿寒から知床の山魁が並んでいる。正に360度の大パノラマを目にしている訳で、感嘆しない方が不思議なくらいである。後にも先にも、これほどの登山者を一度に迎えることはないであろう頂上が暫し賑う。和やかなランチタイムの後は全員で記念写真におさまる。カメラマンは写真から山に入ったというOginoさん。その後、「流石!」と思わせる写真が届く。ちなみに、この山の三角点も北峰にあるが、映画「剱岳点の記」(新田次郎原作)の主人公・陸地測量部技師柴崎芳太郎が設置したものとのことである。彼らの艱難辛苦に思いを馳せながら三角点にタッチする。私自身、壮大な物語の一部になったような気がしたものである。 ついていくだけ 下山は南峰に立ち寄るが、こちらの方が本峰よりは数メートル高そうである。そのことを体感的に確認し降り出すが、トップのKさんはいきなり急斜面をこともなげに降りていく。私は怖いので鞍部まで戻って往路を降りる。Kさんとは何度か沢をご一緒したが、確かなルートファインディングと技術、そして体力に感心させられたものだったが、改めてそのことを思い出していた。下りは、とにかくCo1280二股までの笹藪の急斜面が辛かった。何度尻もちをついたことか‥。Co1070二股からは右岸の造材道跡を下るが、危うく降り過ぎてしまいそうになる。地図もコンパスも持ち、GPSにルートも入れてある。その他、緊急時対応も可能な装備も担いでいるが、頭は空っぽで、前の人に「ついていくだけ」の登山となっていた。これじゃツアー登山を批判できないなあ〜と。 それでも、13時過ぎに全員無事下山を完了する。最後に、今回の「藪山祭」の企画・準備にあたられたYさんから総括的な挨拶があり山行を締めくくる。 ★ 補足 ★ 今回参加の皆さんは、藪山専科だけあってそのパワフルなことに驚かされた。モチベーションも高く、何より、山の全てを楽しんでいるという印象なのだ。私に、藪山へ足を踏み入れるだけの力は残念ながらない。今まで通り、沢と夏道、山スキーを継続することになるが、今回出会った藪屋さん達はあまりに輝いていた。刺激的な体験として、私のこれからの山岳活動に生きていくに違いない。 |
■山行年月 |
2009.10.25(日) |
■天気 |
快晴 |
■同行者 |
藪山祭26名 |
■山行形態 |
沢登り |
■コース:往路/帰路 |
武利川十四ノ沢川 |
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