392.ニペソツ山(東大雪/2012.9M）
ＧＷニペソツは相性悪いのか捲土重来のつもりが返り討ちにあう
【①登山口Co910P土場→Co1484P（C1）】 GWの雰囲気が‥　GW後半は好天続きの前半とは違って何やら不安定な天気予報である。いつもなら日帰山行で済ませるところだが、GWの雰囲気がそれを許さない。連休が3日間しかないので近間の積雪期未登ニペソツ山に向かう。昨年は真冬並みの寒気が流入し、前天狗からの撤退を余儀なくされており、それ故、「今年こそはリベンジを」という決意も固い。昨年は国道から林道をまるまる歩いたが、今年は融雪が進み、Co910Pの土場まで車を入れることが出来た。距離にして5キロ少々で、90分ほどは節約できたことになる。そこからも何度かスキーの脱着を繰り返すが、林道の積雪状況は安定し65分で杉沢出合に着く。入山帳に名前を書き込むが、昨年11月頃のそれが回収されずにあった。その中に知人の名前を見つけて、思わず笑みが‥。雪は昨年の半分以下で、簡易トイレの上の雪も消え、看板類も完全に出ている状況だ。にわかに、ルート上の雪の付き具合が気になってくる。丸木橋の雪も今にも崩れ落ちそうだが、スキーのまま無理矢理渡る。黒々とした前天　やや傾斜が緩む杉沢側から回り込む感じで尾根に乗る。尾根上に雪はあるが、木の枝や枯葉で汚れに汚れている。GW前半のものと思われるスキートレースが黒く浮き上がっている。板には過酷な条件だが、ラッセルがないのは有難い。緩斜面と急斜面が交互に現れる。それを3回ほど繰り返すと、傾斜がなくなりCo1484Pに出る。昨年は雪煙が舞い、直下樹木側にテンパったが、今年は風もなく素直に1484Pにテントを設営する。この時期としては当り前だが、湿気たっぷりの雪で少し掘ると氷化した層が現れ作業に手間取る。柄の長い剣先スコップがあれば楽出来ただろうに。少しだけ上ると樹間から前天狗が遠望できるが、全体的に黒々としており、まとまった残雪は稜線付近と南面沢沿いに見られる程度だ。昨年は真白だった訳で、とても同じ時期とは思えない。果して、どこまでスキーが使えるだろうか‥。テント設営を終え、早めの夕食を摂る頃には周囲はガスに包まれる。今日はどうでもいいから明日だけは晴れて欲しい、と願いつつ就寝。【②C1→前天狗基部1630P→C1→登山口】ホワイトアウト　夜は断続的に降雨があり、終始強い風が吹いていた。熟睡にはほど遠い状態で午前3時過ぎに起床する。星が見えるので安堵しながら朝食を済ませる。周囲が明るくなった頃にテントを出発。得意の暗闇スタートも可能だったが、早朝にかけてはまだ荒天気味とみてあえて出発を遅らせていた。気温は氷点下まで下がったようで、雪面が氷化しシール登行に気を使う。背後のクマネシリ山魁は見えるが、前天狗は全く見えない。小天狗岩場直下でシートラに切り替え、天狗のコル方向へ南斜面をトラバースする。稜線に出ると風が一気に強くなる。ぼんやりとした風景の中を淡々と歩く。天狗のコルから前天狗基部Co1630P付近まで上がるが、視界は更に乏しくなり、強風も吹き荒れている。昼前には晴れるという天気予報を信じて突入という選択肢もあるが、ここはほぼ森林限界で、樹林帯を抜け出すと目印もなければ逃げ場もない。無理は禁物、雪洞掘って天気の回復を待つことにする。轟々たる風音に小雪も混じるが、心なしか明るくなる気配もある。好転の兆しなし　期待をしながら待つこと2時間。だが、好転の兆しはない。ニペまでの往復やテント撤収に要する時間を考慮すると、タイムリミットは8時くらいだろうか。昨年と全く同じような状況に思わず苦笑してしまう。同時に、張りつめていたものが切れてしまうのを感じていた。予備日でもあればもっと粘れるのだろうがそれもない。結局、8時前に撤退を決め、シートラのまま小天狗岩場まで戻る。ガスが切れ出さないか振り返りつつで、正に、後ろ髪引かれる思いである。カリカリの雪面を慎重にテントまで滑り降り、1時間かけてテントを撤収するが、外張端に乗せた雪が凍りついて苦労する。設営時にあまりにガッチリ固定すると後が大変だが、夜中に風でテントが飛ばされないか心配するよりはいい。重い荷を担いで尾根を下る頃には雪も腐り、テン場から45分で杉沢出合まで降りることが出来た。足元には真新しいワカントレースが尾根に伸びている。私が杉沢寄りに下降したので、その主と会うことはなかったのだろう。ワカンに意外性を感じたが、今時はその有効性においてスキーを上回るかもしれない。スキーを使えないシーンでの踏み抜きは回避できると。来季に再々挑戦　林道は風もなく、春の日射しが降り注ぐ。前日同様、Ｔシャツ一枚でも汗が吹き出す。こんな時間に下山するのは何となく心残りでスッキリはしない。東側の西クマネシリやピリベツは遠望できるが、ニペソツ方向は真白な雲に覆われている。昼近くになろうというのにガスはまだ切れていない。どうやら、「撤退は正解だった」ようだ。と言うより、そう思いたい私がいた（笑）。林道の雪も前日よりは幾分少なくなったようで、シートラ区間も伸びた感じだ。この分だと、後1週間もすれば登山口まで車が入れてしまうのではないだろうか。捲土重来を期しての再挑戦だったが、結果はあっけなく返り討ちにあってしまった。私の場合、GWのニペソツは相性が悪いのかもしれない。来季は時期を早めて登頂を狙いたい。三度目の正直となるのか、はたまた、二度あることは三度ある、となるのかは神のみぞ知るといったところだろう。十六の沢川の水勢も強く、山は春本番を迎えている。一か月もすれば沢登りの記録も見かけるようになるだろう。季節の移ろいがやけに早く感じるのは歳のせいだろうか‥。


登山口風景	登山口（昨年）

SB崩壊間近か	尾根風景

Co1430P付近	テン場風景

小天狗遠望	前天狗遠望

前年の前天狗	小天狗岩場南面

Co1630P付近	雪洞

帰路の天狗コル	小天狗岩場

テン場への斜面	GPSトラック

コースタイム（2日目）
Co1484P（C1）	4:30
前天狗Co1630P	5:55
所要時間	1:25
前天狗Co1630P	7:55
Co1484P（C1）	8:25 9:30
杉沢出合	10:15 10:30
林道Co910P土場	11:10
所要時間	3:15 (80)

コースタイム（1日目）
林道Co910P土場	10:10
杉沢出合	11:15 11:30
Co1484P（C1）	14:10
所要時間	4:00 (15)




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