405.白湯山(阿寒山域/916M）
雄阿寒岳南尾根キャンセルしスキー場の山に転進も下山後はまさかの展開
想定外の通行止　平日好天・週末荒天のパターンは相変わらずで、何処へ登るかは天気次第という状況が続いている。だが、今回は、最初に山ありきで、はじめから冬期未踏の雄阿寒岳と決めていた。参考までに天気予報を見ると、阿寒湖畔は終日曇りで風速も5メートル程度で問題はなさそうだ。オホーツク海側を中心に道東地方は荒れるという天気概況のわりには影響が少ない。意外な気もしたが、嬉しい誤算とばかりに阿寒湖畔へ向けて車を走らせる。が、近づくにつれて風が強くなりだし、地吹雪も目立つようになってきた。嫌な予感を抱きつつ、湖畔を抜けて阿寒横断道へ入った途端、ゲートに行く手を阻まれる。予定ルートは南尾根で、登山口は国道分岐から横断道を2.5キロほど入った林道出合なので車で上がることはできない。ここから登山を開始するという方法もあるが、近間に適当な駐車場もなく、それほどの登行意欲もない。早々とキャンセルを決め、用意してきた代替プランを実行することに。向かった先は、麓に阿寒スキー場のある山・白湯山。あえて北東尾根　スキー場駐車場の端に車を止め8時前に歩き始める。ゲレンデを上がるのが最も容易だが、それではつまらないし、スキー場にすまないような気もする。なので、直ぐにゲレンデ端を離れて樹林帯に入る。北東尾根は強風が吹き抜け、雪が吹溜っている。雪は中途半端に固く、ラッセルも深いので最初からシンドイ。高度を上げると地形のせいか風はややおさまり、雪質も良くなるので幾分ペースは良くなる。ふと、足先に目をやると、巨岩の側の地面が剥き出しとなり湯気が上がっている。この辺りは地形図でも「ボッケ群」の表記があり、その一つである。活火山を抱える温泉地ならではの光景である。Co700付近から次第に傾斜が強まる。地形図ではさほどの斜面には感じないが、これが結構厳しい。高度差は100メートルほど。はじめのうちこそジグ登高も可能だったが、途中からは壁のような斜面でルートが見いだせない。行き場を失い右往左往するシーンが続く。浅い沢形からなんとか左手の尾根に逃げて悪場を脱出するが、際どかった。速さ全てに非ず　尾根に出ても傾斜は変わらず樹木も混んでいる。安全策で20～30メートルほどシートラをする。こんなところでスキーを担ぐとは‥。我ながら情けない気持ちになる。傾斜が緩むと再び強風の洗礼を受けながら、丘のような小ピークに出る。樹間背後には阿寒湖畔がボンヤリと見えるが、今度は樹木が混みだし、小さな起伏もあるので下りは難儀する。3時間以上もかかってようやく白湯山とのコルに出る。ゲレンデを上がってくれば1時間くらいで来れたはずだが、登山は速さが全てではない。ピークまでは高度差100メートルほどだが、とにかく、山を揺らすような風が吹き、雪が舞い上がっている。スタート時よりも明らかに荒れた感じは否めない。樹木が密集したピークへの斜面を眺めると気持が萎えてしまう。心は、こんな日に4時間近くも行動すれば充分という気分になっていた。小休止の後、下山をはじめる。無人のゲレンデ　ルートはスキー場のゲレンデで、林道を北進すればリフト終点に出られるはずである。何気なくGPSを見ると、現在地がフレベツ岳の近くを指していて驚くが、周囲の地形やGPSログから考えて明らかな誤作動と分かる。やはり、100パーセントはあてにできない。特に、荒天時などはその傾向が強そうだ。緩やかに下ってゆくと15分ほどで運転を休止したリフト終点に到着。天気が天気なのでスキー場はクローズしているかもしれないと思っていたが、やはり、そうだった。シールを外して吹き溜まったゲレンデを滑り降りてゆく。下部の緩斜面でも雪面の状態が分からないくらいなので、営業休止は当然だろう。無人のスキー場施設を通り抜けると、広い駐車場に私の車が1台ポツンとある。ヤレヤレと思いながら後始末を終え、フロント回り込んでみるとウインドウに「スキー場は営業を休止しています。問題があれば観光協会まで」という貼紙が。スキー場の管理エリアなので当然と言えば当然な訳で、ちょっと安易だった。警察署から電話　この時になって、急に途中にゲートがあることを思い出す。悪い予感は当たり、しっかりと閉じたゲートに行きつく。とりあえず、観光協会に電話しようとスマホの電源を入れた途端に着信音が響く。凄いタイミングと思い電話に出ると、相手は釧路警察署。家族に何かあったか！と一瞬不安に包まれるが、話を聞くと、私に山岳遭難の可能性があり対応していたというのだ。直ぐに派出所の警察官が鍵を持参で来てくれて、本人確認と簡単な事情聴取で開放された。おおかた、スキー場関係者が、駐車場に止めてある車を不審に思い警察に通報。それを受けて警察が山岳遭難を視野に調査対応したというところだろうが、私の現職時の職場にも連絡を取るなどしたらしい。後輩にも迷惑をかけてしまった。ゲート手前に車を置き登っていればと悔やまれるが、何より、スキー場が終日営業しないというのは誤算だった。阿寒の湯をいただきゆっくり帰ろうなどという気持は吹き飛び、真直ぐ帰路につく。今回の山行のキーワードは間違いなく「想定外」であり「誤算」だろう。それにしても、警察の対応は少し過敏すぎるのでは‥


ゲレンデ全体	ロープリフト

吹雪ゲレンデ	下部樹林帯

ゲレンデの標識	ボッケ

ようやく緩斜面	埋まる埋設標識

コル風景	リフト終点間近

休止するリフト	ゲレンデ①

ゲレンデ②	GPSトラック

コースタイム
スキー場駐車場	7:45
ボッケ	9:10
白湯山東コル	11:05
所要時間	3:20
白湯山東コル	11:20
スキー場駐車場	12:05
所要時間	:45




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