416.摩周岳・西別岳(阿寒山域/857M・799.5M）
天気に翻弄されながらも20キロを踏破し首尾よく2座登頂果たす
気分は癒し登山　然別山は濃い樹林帯と倒木に悩まされたので、今回は摩周ブルーでも眺めながら摩周岳と西別岳をプチ縦走するプランである。踏破距離は少し長いが、難しいところもなさそうで、私的には「癒し登山」のつもりだった。自宅を深夜に出発し3時間弱で登山口となる摩周湖第一展望台に到着。装備を整え6時過ぎにスタート。日の出前だが、充分に明るく、ヘッデンなしでも問題はない。明瞭なスノーシューのトレースを拝借し緩やかに下ってゆく。静寂に満ちた摩周湖と僅かに雪を付ける摩周岳南西壁、何度見てもため息が出るほど美しい。Co480の最低コルからはCo683.2P（三角点あり）に向けての長い登りとなる。トレースは摩周湖外輪の夏道を忠実に辿っているようだが、さほどのラッセルでもなさそうなので、時折、ショートカットする。樹林帯もあるが低木の疎林なので支障とはならない。ダラダラとした登りが果てしなく続く。ウロコ板が有利　振り返ると西の空にはまだ月が出ている。やがて、摩周湖外輪の西側上部がモルゲンロートに染まり始める。ほどなく、前方樹間から朝日が差し込む。Co683.2まPで90分は快調なペースで、この先の行動を考えると好材料だ。右足元に広がる釧根台地はあくまで平坦で広い。奥に西別岳も望めるようになるが、とても800メートルの山とは思えない雄大さを誇っている。そこかしこに鹿道が張り巡らされ、泣き声も聞こえている。不審者侵入のサインでも送っているのだろう。これから先のルートを目で追ってみる。やや南東側に回り込む感じがじれったい（笑）。スノーシューのトレースはここで消える。ルート上は吹きさらしで雪は固めだが、アドバンテージはスキーにあると思う。よくぞ頑張ったと言いたい。以降は鹿のトレースのみである。緩やかな下りなのでノンシール、ヒールフリーでとも考えたが、Co676Pへの登りではシール登行となるので、シールのまま降りてゆく。おそらく、ウロコ板などにはピッタリのシーンではないだろうか。周囲の大景観も　Co676Pまで登ると、摩周岳分岐までは直線距離にして700メートルほど。左右の大景観を楽しみながらスキーを走らせる。灌木の並木道をゆくあたりで、摩周岳に僅かにガスがかかり始める。すぐに消えると思ってたが、それは急速に勢力を拡大し、分岐に着く頃には摩周岳を完全に覆ってしまった。とりあえず、アタックザックに荷を移し西別岳に向かう。こちらは天候悪化の兆しすら感じられない。5分ほど夏道を行き、途中からショーカットしてCo640付近で目的の夏道尾根に合流する。が、このころから周囲は一気にガスに包まれ、強い北風が吹き荒れるようになる。僅か30分ほどの間の天気の急変には驚くばかりだ。低山なのでまだしも、2000メートル級の稜線でこんな事態に遭遇すればパニックに陥るかもしれない。念のためコースサインを付ける。Co712Pを過ぎ、通称「又牛別岳」（Co760P）まで上がれば頂上は近い。ラストは僅かに急登ととなるが、雪の花を咲かせる灌木のプロムナードを抜けると立派な看板の立つ頂上である。凄みある南西壁　眺望も叶わず、摩周岳アタックもあるので長居はできない。5分ほどの滞在の後、ピークを後にする。西側の尾根はいかにもスキー向きだが、夏道尾根（北尾根）はそうではない。麓で少しだけ楽しみ、摩周岳分岐に戻る。ここで、ピッケル、アイゼン、スキーアイゼンをアタック装備に加え、リスタートを切る。ルートは夏道のある南尾根である。地形図ではほぼ直線的に北上するイメージだが、実際は反時計回りにおおきく登行する感じである。Co700くらいまでは傾斜もゆるく、問題となるシーンは出てこない。その分、下降時は登り返しとなるシーンもありそうだ。が、そこから上は尾根そのものが細く急となるのに加え、右足元も急斜面となるのでルート選択に気を使う。夏道は急斜面をトラバースするように開削されているが、それが嫌なので基本的に尾根の背を上がる。もっとも、夏道は確認できないが。時折、南西壁がボーッと浮かび上がる。中々凄みのある絵ではある。「足元注意」とか「落石注意」の看板が銀世界にアクセントを放つ。直下までスキー　雪は柔らかく、スキーがそれなりに沈むので、スキーアイゼンの出番はなく、幸運にも直下5メートルまでスキーが使えた。ラストはツボ足となったが、ピッケルもアイゼンも使用することなく頂上に立つ。眺望と言えば、西峰がボンヤリ浮かぶ程度で、ほかには何も見えない。足元の「転落注意」の看板がエビの尻尾を形成している。低山だが、環境はそれなりに過酷である。摩周岳だけのアタックなら、西峰を越えて尾根を一回りするというのも面白そうだ。3時間もあればなんとかなりそうだが、一部シートラは必至であろう。ここも証拠写真を撮ってすぐに下山を始める。下りは急斜面が雪質もよく意外にスキーが楽しめた。調子に乗って東側に膨らんでしまったが‥。分岐に戻りランチとするが、この頃になって日差しも回復し、西別岳が再び全容を露わにする。帰路につくとほどなく摩周岳も姿を見せ、天気に翻弄された山行となってしまう。復路は当初プラン成就もあってか、のんびりとした下降となる。というか、ペースが上がらない。復路は疲労困憊　摩周ブルーと切り立つ白い岩壁、北奥には藻琴山が翼を広げ、西には弟子屈から川湯にかけての低山群が並ぶ。ロケーションはいいのだが、強い北風が体熱を奪ってゆく。Co683.2Pからは最低コルまで一気に滑り降りる。外輪で唯一滑りを楽しめる部分であろう。しかし、ここからが長かった。時間にすると40分ほどで、極端に遅かった訳でもないのだが、行けども行けども第一展望台が近づいてこない。沿面距離20キロ踏破のしんどさを噛みしめながら登山口に戻る。このルートの特徴は、トータル20キロ（GPS/沿面距離）という長さである。比較的平坦な地形なので、難易度は低いが、累積標高で1584メートル（GPS）ほどアップ・ダウンすることになり、ボディブローのようにじわじわと体力が消耗してくる。今回はたまたまいい条件で歩いたが、雪が深かったり、天気が荒れたりすると難易度は増す。そのあたりの見極めがカギとなるだろう。


摩周岳①	静寂の摩周湖

背後に月が‥	樹間から朝日

早朝の西別岳	輝く外輪山

摩周岳②	辿りしルート

ガスる摩周岳	西別岳山頂

摩周岳山頂	摩周岳西峰

切れ落ちる足元	凍てつく山頂

辿りし南尾根	スキーデポ地点

下降時の摩周岳	外輪山と藻琴山

復路の西別岳	GPSトラック

コースタイム
摩周湖第一展望台	6:15
摩周岳分岐	8:15
西別岳	9:15 9:20
摩周岳分岐	10:05
摩周岳	11:20
所要時間	5:05
摩周岳	11:30
摩周岳分岐	12:00 12:20
摩周湖第一展望台	14:35
所要時間	3:05




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