449.1365峰・1353峰(東大雪/1365M・1353M) | ||
名はなくともシャープで双耳峰然とした山容で刺激的な山行となる | ||
狐効果で本調子 2月に入って然別湖周辺の亜高山巡りが続いている。3度目となる今回、目指す山は南ペトウトル山の西に位置する1365峰と1353峰である。名こそないが、双耳峰然とした佇まいは、独特の存在感を放ち登高意欲をそそられる。この二座のピークをどういうラインで踏むのか‥。当初は、然別温泉街から直接南ペトウトル山と1365峰の鞍部に上がるルートを考えたが、ピストンするにせよ、南側に降りるにせよ、少しリスキーなことや、復路のルート長を考慮し却下。最終的に、もっとも無難と思われる南側に登下降ルートをとることにする。新白雲橋付近の道路分岐に車を止め、然別川右岸林道に入る。右手の斜面が1365峰の南東尾根末端。直ぐに取付いてもいいのだが、尾根筋は倒木リスクが高いので、避けることにする。然別川左岸の西ヌプカウシヌプリが意外とピラミダルだ。林道は平坦でラッセルも浅いが何となく身体が重い。立ち止まること度々で、ふと、振り返ると狐くんがいるではないか。私が止まると彼も止まり、私が歩き出すと、彼も歩くといった行動を繰り返す。適度なギャップを維持しながら、私のトレースを辿っている。「先に行ってもいいんだよ」などと声をかける私が可笑しい。同行者は15分ほどで右手樹林帯に消えたが、テンションアップは狐効果かもしれない。2キロ近く歩くと顕著な沢形が現れ、林道は北から南に大きく回り込む。正面に1365峰が登場し、山頂部の白さが際立つ。予定ルートは、この沢形を少し詰めてから南斜面を上がるというプランである。沢沿いの造材道を辿り一旦沢床に降りる(Co960)。そこから中間尾根に取付く。最初こそ尾根形状は明瞭だがそれは直ぐに平坦な針広混交林に変わる。ほどなく、等間隔で造材道が現れ、何度かこれを利して大きくジグを切る。だが、植生はそれほど混んではおらず、心配した倒木もないので、造材道を離れ樹林帯にルートをとる。 サイン一切なし 傾斜は次第にきつくなり、本格的なジグ登行となる。右側は浅い沢形が入っており、植生もやや濃いので自然と左側にルートをとることになる。樹間から1353峰が見え隠れする。轟轟たる風音が山中に響く中、黙々と高度を稼ぐ。ラッセルが浅いのが救いだ。Co1200くらいを過ぎると造材道は姿を消す。ピークまでも届きそうな勢いだったのでホッとする。益々強まる風に抗すべく、フードを被りゴーグルをする。Co1300を過ぎて西側から北側に回り込む。この辺りは吹きさらしで、ハイマツが頭をもたげている。雪面は一部氷化しているので慎重にスキーを運ぶ。突風に吹き飛ばされないようバランスを取りながら頂上に立つ。眺望は思いのままですこぶる良い。ガスって遠望は利かないが、周辺の山々は良く見えている。1414峰は険しい西面を露わにし、端正な山容が際立っている。それに比べると、南ペトウトル山はどことなく優し気な印象だ。西ヌプカウシヌプリから東ヌプカウシヌプリ、白雲山、天望山と連なる山並みからは里山的雰囲気タップリだ。これから向かう1353峰は南東斜面が見えているが、雪を纏った樹木が密集し白く輝いている。強風なのでのんびりしている余裕はない。証拠写真を撮りそそくさと1353峰へ向かう。北西に伸びる尾根は、鞍部までは樹木の処理が煩わしく、クラスト雪面もイヤラシイ。横着してシールのまま降りると途中で剥がれてしまう。160メートル降りるのに25分ほども要することに。コルまでからは眩しいほどの斜面が頂稜肩まで続く。辛い登り返しのはずだが、こちらはあっさりと肩まで上がる。頂稜は東西に長く、雪庇を辿り中間付近の頂上に到達する。1365峰もそうだったが、ピークを示すサインの類は一切ない。自然のままで良いと言えばそれまでだが、登山者が極端に少ないのも事実だろう。もしかすると、いないのかもしれない。私など、冬季は立派な登山対象と思うのだが‥。 スンナリ造材道 寂しさを感じながらショートランチを摂る。1365峰と違い、周囲の樹木が邪魔をして眺望はあまり良くない。下降は、西肩から南斜面にルートをとる。問題となるのはCo1000メートル付近で出会う沢形だ。登り返すシーンが出ないように、地形や植生の見極めが必要となる。勿論、倒木対策も必要だ。少々悠綱な気分で降りてゆくと、Co1220付近で造材道に出る。あまりに明瞭なので引き込まれるようにそこを下る。大きく折り返しながら高度を下げてゆく。ラストは沢沿いに伸びる造材道から然別川右岸の林道に飛び出す。ピークから僅か35分のスピード下山だった。いつもはほとんど利用しない造材道だが、時にはこんな幸運にも出会うのだ。ただ、ややこしい地形をベストラインで突破するという妙を味わうことはできなかった。力はないのだが、ここへの悔いは残る。尾根の張り出しを大きく回り込むと往路のトレースを見る。締めくくりは、クールダウンさながら強い西風に背中を押されながら林道を戻る。 南ペトウトル山に登った時の発見がその後の然別湖周辺の亜高山巡りに結びついた。モチベーションは高まり、久々に刺激的な山行ともなった。そして、東大雪にもまだまだ未知の領域があることも。これからの山行に生かしたい。それにしても、今回登った二座、「1365」「1353」ではあまりに悲しい。1414が通称ペトウトル山と呼ばれているなら、せめて「西ペトウトル山」東峰・西峰くらいの通称名は与えてもいいのではないか。もっとも、名がつこうがつくまいが、山はそこに確かに存在し、素晴らしさも全く変わるものではないことを付記しておきたい。残るは、北ペトウトル山だが、無雪期に北峰には上がっている(2004年6月ヤンベツ川支流ルート)ので、今回は除外とした。長い道路歩きとなることもあり、残雪期に山泊で遠望山や石山と合わせて登れればと思っている。 |
■山行年月 |
2018.02.25 |
■天気 |
晴時々曇 |
■同行者 |
単独 |
■山行形態 |
積雪期登山(山スキー) |
■コース:往路/帰路 |
1365峰南斜面 |
1353峰南斜面 |
コースタイム | |
道路分岐 | 7:10 |
南斜面取付 | 8:15 |
1365峰 | 10:30 10:40 |
1353峰 | 11:45 |
所要時間 | 4:35 (10) |
1353峰 | 12:05 |
林道出合 | 12:40 |
道路分岐 | 13:45 |
所要時間 | 1:40 |