115.沙流岳(北部日高/1422.0M) | ||
深いラッセルと長いトラバースに耐えると垂涎の大斜面が待っていた | ||
日勝峠1445ピークの南西に位置する沙流岳はピラミダルな山容と白く輝く東斜面が印象的な山である。登山道が開削され無雪期にも登られているという情報も聞いたような気がするが、登山の主流はやはり雪のある時期ということになるだろう。積雪期のルートとしては、西の上滝山方面から尾根を辿るコースと、東側の日勝峠から1445峰を経由するコースに分けられるだろう。今回は後者を選択した。 快晴・無風、これ以上ないという好天に感謝しつつトンネル上部まで上がる。さて、ここからどのコースを行くか。1445ピークまで上がり尾根を西下するのが最もポピュラーだが、アップダウンが辛いので、樹林帯のトラバースが中心となる堀ゲレンデ経由で行くこととする。コンパスを掘ゲレンデ下部(Co1200付近)に合わせ樹林帯に入る。トレースなど勿論なく、前々日の降雪もあり積雪量はたっぷりすぎるほどある。膝までの苦しいラッセルに耐えること1時間、ようやく堀ゲレンデ下部に着く。雪質は最高のパウダーで、「心ゆくまでここで滑るのもいい」などと思ったりするが、沙流まで行きたいという気持ちの方が強くあくまで初志貫徹である。再び樹林帯に入るが、このルートはここからが実に長い。浅い沢形を越え小尾根を回りこむ。同じ景色が続き方向感覚を失いそうになる。予定のルート通りであれば林道のヘヤピンにぶつかるはずだが‥。念のためGPSで確認してみると、予定ルートより50メートルほども上を辿っている。良くいえば、直線的にショートカットしたということになるが、同じ高度を平行移動しているつもりでも自然と上へ向かっているようだ。ほどなく林道に出くわすが、そこは雪が波打って吹溜りクラスト状態を呈している。ようやく苦しいラッセルに終止符を打つことが出来そうである。ラッセルが応えたのか、いつもより体力の消耗を感じる。小尾根を辿りコルまで降りてしまうと目指す沙流岳が全容を現し気分は清清しい。ブッシュも樹木も無い白一色の北東尾根をジグを切って上がっていく。左手にはスキヤーにとっては垂涎ものの大斜面が広がってる。帰路の滑りを楽しみにしつつ急登に耐えるが、クラスとした雪面に積もる新雪はスキーの摩擦係数を著しく低減させる。遂に、直下5メートルに至りスキーをデポしツボ足に切り替える。最後は小雪庇を押し分けるようにして頂上の人となる。 疲労困憊の果てに立った頂上からは今まで目にした事の無い北日高があった。東に意外と大きいペケレベツ、南にはペンケにチロロ、北西には狩振、トマム、落合が並ぶ。しかし、最も気になったのが西の1347.2ピークで、深い沢と鋭角的な山容が中々の迫力を見せていました(後日、判明したことだが、この山は「林業界」の双珠別岳と言われているそうである。ちなみに、労山熊見山の西にある双珠別岳は「登山界」のそれといわれている)。そういえば、西奥に夕張マッターホルン1415峰が見えていたのも印象的でしたね。山座固定と小休止の後、いよいよ滑降に移る。が、往路の疲れからか膝に力が入らない。たぶん、自分でも情けないような格好で滑っていたのだと思います。それでも、コルまで一気に滑り降りると再びシールを着け小尾根を登り返す。ここで威力を発揮したのが秀○荘で購入したバンドで、スキーの前後に装着しシールを固定する。かなりハードなスキー操作でもついぞシールが剥がれることはありませんでした。時間が許せば何本も滑りたい大斜面に後ろ髪引かれつつ林道まで戻る。尾根を辿り1445ピークまで上がるつもりだったが体力的に自信が無いので往路を引き返すことにする。往路のルート設定がアバウトすぎたせいか登り返しも結構あって辛い。されどシールを付けるまでも無い。結局、シール無しヒールフリーで樹林帯を突破する。掘ゲレンデ下部で最高のパウダーを2本ほど楽しみ15時頃に峠駐車場に戻る。単独だけに怪我もなく戻れてヤレヤレでだったが、深いラッセルのせいだろうか、身体はボロボロ状態でした。日頃の体力作りの重要性を痛感させられた山行でもあった。 |
■山行年月 |
2005. 2.25(金) |
■天気 |
晴のち曇 |
■同行者 |
単独 |
■山行形態 |
積雪期登山 |
■コース(往路/帰路) |
日勝峠掘ゲレンデ |
↑ |
コースタイム | |
地点分岐等 | 時間 |
日勝峠駐車場 | 8:40 |
掘ゲレンデ | 9:40 |
沙流岳 | 12:20 |
所要時間 | 3:40 |
沙流岳 | 13:00 |
掘ゲレンデ | 14:35 |
日勝峠駐車場 | 15:00 |
所要時間 | 2:00 |