■山行年月 |
2020.07.05 |
■天気 |
晴時々曇 |
■同行者 |
単独 |
■山行形態 |
沢登り |
■コース:往路/帰路 |
ペンケ川南東面直登沢 |
美生川支流北東面直登沢 |
コースタイム | |
滝見の橋 | 7:05 |
南東面沢出合 | 9:35 |
上伏古 | 12:10 |
所要時間 | 5:05 |
上伏古 | 12:30 |
Co355道路 | 14:25 |
滝見の橋 | 14:50 |
所要時間 | 2:20 |
481.上伏古(北日高/876.1M) | ||
核心は前半ゴルジュ帯で混乱と平穏が同居するペンケ川から上伏古へ | ||
ペンケ川は美生川の支流で、芽室町伏美地区で右岸から本流に流入している。上美生地区から美生ダムに向かって7キロほど走り、Co317でペンケナイ林道に入る。5分も走るとペンケ川に架かる「滝見の橋」で、ここが入渓ポイントだ。地図上は右岸に林道が伸びているが、ゲートは閉じられていて車は入れない。今回、情報を提供してくれた山仲間のもっちゃんによると、林道は荒れているので徒歩使用のメリットもないとのこと。素直に沢床に降り遡行を開始する。気温もそこそこあり、沢には優しい陽射しが差し込む。足首程度の流れが広る中をヒタヒタと進む。しかし、癒し効果を実感するのも最初だけで、10分もすると状況は激変する。両岸が狭まりいきなりゴルジュ地形が始まる。露出する岩床、黒い岩肌、白濁する流れ‥。小さく蛇行を繰り返す沢、次は何が出てくるか‥。ヒヤヒヤしながらの遡行となる。滑床や小滝、廊下も出てくるが全て中を行ける。釜付二条の小滝を超えるとCo320二股で、左沢は15メートル超の滝となって流入する。直瀑ではないが、水量は充分にある。所々で左岸の陽射しが水面を黄金色に染め、何とも美しい。直後、Co330で広い釜を持つ斜滝(5M)に行き着く。右岸に弱点はなく、ノッペリとした左岸はどうかと観察すると、固定ロープを発見するが、これが何とも頼りない。古い上に枝分かれしている。一応、テンションをかけてみるが、支点の状態も確認できず、命を預ける訳にはいかない。僅かだが、ホールドはあるので登攀テクに自信のある向きは突破できるだろう。私といえば、50メートルほど戻り左岸を高巻く。50メートルほど上がり、80メートルほど横移動し沢身に戻る。要した時間は35分。急斜面だったが、笹や灌木が生い茂り、微妙なシーンはなかった。ちなみに、落ち口から見た残置ロープの支点は手首ほどの太さの灌木だった。沢側に傾いて立っているのもイヤラシイ。以降も、ゴルジュ地形は断続的に続き、うねるような流れや小滝、滑床、廊下と飽きさせない。Co340で沢に横たわる流木を見ると、沢はスタート時のような平穏さを取り戻す。2基の砂防ダムを越えると、Co355二股で、左股は二段の小滝で流入する。Co380二股を右に入ると、沢の様子は再び波乱含みとなり、直登沢出合まで続く(Co410)。Co410二股は右股をとるが、可愛らしい滑床で水量はグッと細くなる。直ぐにでも消失してしまうのではないかと心配したが、杞憂に終わる。小規模な滑が断続的に現れ、3メートル前後の小滝もいくつか出てくる。勿論、直登あるのみだ。Co480二股は右。小振りだが、沢筋は明瞭で、淡々と高度を上げてゆく。背後には、ペンケ川右岸の山々が望めるようになる。じりじりとした暑さに耐えCo690で涸滝を越える。水流があれば迷わずシャワークライムだろう。消失したと思った水流は直後に復活し、最終的にはCo730が源頭となった。同時に沢形も怪しくなり藪漕ぎが始まる。初めの内こそ可愛いものだったが、次第に厳しさを増してくる。Co750辺りからは傾斜も強まり、背丈まであろうかという笹薮と格闘する。藪漕ぎから遠ざかって久しい身としては、誰にでもなく泣きを入れていた。ラスト100メートルに1時間近くかかる始末で、悪戦苦闘ぶりが伝わると思う。ピークも笹に覆われているが、三角点は露出し、側の灌木にはテープが付けられている。地形図表記は876.1で点名は「上伏古」。周囲を木立に囲まれており、眺望はあまりよくない。僅かに、樹間から西側の山が望めるだけで山座固定まではいかない。いつの間にか陽射しは陰り、大休止という気分でもない。そそくさとランチを済ませ、北東面の沢筋めがけて笹藪を下降する。明瞭な沢筋(Co700)に入るまで、斜面全体が背丈ほどの笹原で、下りといえども必死に藪を漕ぐ。そんな折も折、足元で青大将がとぐろを巻いているではないか。ヘビは大の苦手、反射的に回避行動をとっていた。水流が現れると滑や小滝が断続的に現れ、まるで南東面沢のコピーを見るようだった。特に、Co390付近の滑床は雰囲気が良い。Co355で右岸に地図にない道路が現れ、これ幸いにと沢を離れる。東に向かう道路を辿ると行き止まりとなるが、適当に藪を漕いで目的の町道に出る。 今回の沢行のハイライトはペンケ川の入渓点から南東面直登沢出合(Co410)までである。地形図からは想像できないゴルジュ帯は適度な迫力と難易度に満ちており、楽しめること請け合いだ。その前後には全く穏やかな沢風景が広がり、混乱と平穏というか、渓相のギャップを体感できるルートといえる。それ故、後半の南東面沢も北東面沢(下降沢)も印象は乏しい。両沢とも小振りで、滑系の沢といえる。技術的に難しさはないが源頭域からの笹薮は濃密で、低山だからといってなめてかかると痛い目にあうかもしれない。山谷的評価は「Ⅰ」の域を出ないと思われる。但し、沿面距離もそこそこあり、源頭域の藪漕ぎ、ゴルジュでの高巻きなどを考えると、体力がモノをいうルートと判断して良さそうだ。なお、直登沢出合(Co410二股)までのいいとこ取りも充分にありで、遡行者の痕跡もある。「知る人ぞ知る」の類なのかもしれない。 初めてのルートを遡行するのは、いつも緊張感に満ちており、私の中では大きな挑戦である。機会を与えてくれたもっちゃんに感謝します。 |