コースタイム2日目 | |
BC | 2:45 |
十勝幌尻岳 | 3:55 |
Co1408JP | 5:10 |
頂上 | 7:05 |
所要時間 | 4:20 |
頂上 | 7:15 |
Co1408JP | 9:30 |
Co1621JP | 10:55 |
十勝幌尻岳 | 12:40 |
BC |
13:25 14:30 |
オピリ林道分岐 | 16:45 |
所要時間 | 9:30 (65) |
コースタイム1日目 | |
オピリ林道分岐 | 8:20 |
北尾根Co860 | 10:25 |
BC(Co1570) | 14:25 |
所要時間 | 6:05 |
■山行年月・天気 |
21.04.23(金)快晴 21.04.24(土)晴 |
■同行者 |
単独 |
■山行形態 |
残雪期・ツボ足 |
■コース:往路/復路 |
勝幌北尾根・東峰南尾根 |
同上 |
511.岩内岳(日高中部/1497.5M) | ||
沢がダメなら尾根があるさと十勝幌尻岳を越えて支稜の鋭鋒に登頂 | ||
【1日目 オピリネップ林道分岐→北尾根BC(Co1570)】 岩内岳と言えば、岩内町や日高町のそれを思い浮かべる人が多いと思うが、今回は中部日高・中札内村の岩内岳だ。札内川左岸に位置しており、六ノ沢から沢登りで登られることが多いようだ。かくいう私は、東側のウエダ川東面直登沢からピークを目指したことがある(2012年8月)。この時は時間切れでCo1100二股までだった。そんなこともあってか、頭の片隅に岩内岳は常にあった。東面直登沢の難易度は高く単独再挑戦は無謀なので、北尾根から十勝幌尻岳を越えて支稜を辿ることにする。 オピリネップ林道分岐まで車を乗入れるも辺りに雪はない。重装備で夏道尾根を上がるのは論外で、何とかして北尾根に上がりたい。狙いをつけたのは、地形図Co506付近に流れ出る小沢で、藪は薄そうだし、高度を上げると残雪も出てくるだろうという読みだ。薄い笹薮を掻き分けながら上がってゆくと、Co590あたりで雪が現れる。雪がなくても藪はほぼない。固い雪を繋ぎながら2時間ほどかけて北尾根に上がる(Co860)。重荷に音を上げ、早々にワカンをデポする。この判断は如何にも早計だが、尾根上の雪も固そうなので何とかなるだろうというアバウトさだ。その読みは当たり、踏み抜くことは全くない。そこかしこにスキーやワカンの黒ずんだトレースが刻まれている。苦労した重装備でのスキー下降が思いだされる(2008年1月)。翌日中にアタックを終え下山するプランなので、出来ればCo1680付近までは上げておきたいところだがペースは遅々として進まない。根性なし故に体力も気力もついてこない。勝幌ピークがスカッと見通せるCo1570まで上がるのがやっとだった。いつものように1時間ほどでテントを設営し、早い夕食と就寝で翌日に備える。 【2日目 BC→勝幌ー岩内岳→勝幌→BC→オピリネップ林道分岐】 アタック日は前日の遅れを取り戻すべく3時前にスタートする。左下には十勝の街々の灯りが輝く。この絵を目にするのはいつ以来だろうかなどと考えながら進んでいく。意外にも踏み抜くことが多く、ワカンデポを少し後悔する。特に、勝幌北肩からピークの間が酷い。先行き不安を打ち消すように勝幌ピークから東峰に向かう。地形図ではほぼ直線的に南進するルートだが、実際には時計回りに尾根を辿る感覚だ。東峰とのコルから直接、東峰南尾根にトラバース。ダラダラと200メートルほど下る。既に、右手に岩内岳が見えているが、背後の白い山並みにの前には影が薄い。Co1621JPは肩付近から南にショーカットする。尾根は南西に方向を転じCo1408Pまでつづく。東の空が赤くなるが、何となくスッキリしない。天気が崩れる兆候でなければいいが‥。ここまで雪庇は非常に安定しており、踏み抜きもない。アングル的には岩内岳を北から眺める位置関係で、尾根が想像以上に細いのが気になる。Co1408Pからは尾根の様子が一変する。一気に200メートルも高度を下げるが、傾斜も強く尾根も細い。当然ながら、雪庇も不安定なものが多く、尾根の藪を漕いだり獣道に逃げるシーンが多くなる。最低コル(Co1200)からは300メートルの登り返しで、気合を入れなおして取付く。尾根は相変わらず細く雪庇の付き方も良くない。遠目にも尾根にはギャップがあるのは分かっていたが、気持がへこむほどそれは出てくる。頂上直下のコブなどは際どい巻きを強いられる。それでも、7時過ぎに待望の頂上に到達する。勝幌から眺める岩内岳は遠くて渋い山に映る。暫し、そのマイナーな山のピークに立っているという実感に浸る。灌木が少し邪魔をするが西方向の眺望はとてもいい。日高の主稜はあくまでも白く長大だ。中央にはピラミッド峰を従えたカムエクが盟主然として聳えている。六ノ沢を挟んで対峙する1628.4(点名:中岳)も立派な山容を見せる。勝幌はこの角度から見ると高さより雄大さが強調される。ウエダ川東面直登沢の源頭域などはものすごい傾斜で、核心部は攻略した気分になっていたが、どうして、それは序の口だったかもしれない。いつまでも眺めていたい景色だが、全体として登りとなる復路を考えると長居はできない。10分ほどの滞在でピークを後にする。復路のポイントはCo1408Pまでどのくらいでカバー出来るかにある。正直、疲労度は大きく、最低コルからの200メートル強の登りは辛かった。脚が攣りそうになり何度も泣きが入る。騙し騙し何とか70分で登り切る。ここまで上がれば勝幌までは標高差にして440メートル弱しかない。少しだけ緊張感から開放され、たおやかな尾根をジワジワと上がってゆく。往路はパスしたCo1621JPにも上がり眺望を楽しむ。風はあるがアウターを着込むほどではない。時折、雪の上に倒れ込んで綺麗な雪を口にする。やはり、温かいお茶よりは冷たい水を身体が要求する。心配した雪の緩みもほとんどなく、順調にCo1681まで上がり、東峰直下からコルに抜け勝幌に戻る。岩内岳から5時間20分、予想通り苦しく厳しい登行となった。それだけに喜びも大きい。私の目には、岩内岳は遥か彼方に映り、よくぞ歩いたものだと感慨に浸る。前日のような快晴とは行かないが、登山を楽しむには充分な天気だ。久々に目にする勝幌からの大景観はやはり素晴らしい。クッキリとしたワカンのトレースを辿るように40分ほどかけてBCに戻る。途中、夏尾根にワカンのトレースがあった。北尾根に上がるルートに雪がないとすればそれもアリなんだろう。季節はやはり進んでいるようだ。BCに戻ったはいいが疲労困憊状態で食事をする気にもなれない。のんびりもう一泊したいところだが、翌日は天気が崩れるらしい。時間的にも余裕があるので今日中に下山したほうが賢明と判断。コーラとオレンジを無理矢理腹に詰め込み撤収作業を1時間ほどで終える。重装備は流石に堪えるが、踏み抜くこともなく下降点のCo860まで高度を下げる。沢ルートは、心なしか前日より残雪の範囲が狭まった印象だ。終盤、流れの中をジャブジャブ行ったり笹薮を漕いだりするも45分ほどで林道に出る。アウターも登山靴も泥だらけになり、私と言えば精魂尽き果てた感じで車に戻る。 このルート、勝幌~岩内岳間は私にとって未知のそれであり、ネットなどでも情報は少ない。Co1408P辺りまでなら何となくイメージできるが、それ以降、岩内岳までは何が出てくるかわからない。ルート中の核心部と見ていたが、その分析に誤りはなかった。登行にしろ下降にしろ、気を遣うシーンがやたらと多い。地形図に現れないコブなども出てきて、その処理に疲弊してしまう。ただ、尾根上の獣道は発達しており、その有効活用がスピードアップと体力温存に繋がる。雪庇に関しては、もう少し時期が早ければ違う状況なのかもしれない。いずれにせよ、起伏が大きいのでスタミナ勝負のルートと言えそうだ。今回は2日目に異例の早立ちでアタックを済ませ、下山まで完了した。結果としてタイトなスケジュールとなったが、私のレベルでは2泊3日が妥当なところだ。ちなみに、Co1408Pまでスキーは使えそうだ。あくまで、使う気になればという意味だが‥。 高齢者の単独登山における事故リスクは高い。山へ登らなければ良さそうなものだがそうもいかない。自分自身と家族の安心のために「ココヘリ」に入会した。もしもの時、本人もしくは家族からの要請で「ヘリによる捜索」サービスが受けられる。テクノロジーとしては、貸与された発信機が発する電波をヘリがキャッチし位置を特定する(個体識別捜索が可能)というもので、最長16キロ先の電波も補足されるという。勿論、山間部は障害物だらけで鵜呑みにするわけにはいかない。発信機の充電・携帯、登山計画書の作成など煩わしさも増えるが、安心係数の向上には役立つのではないか。 |